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沖縄藝能新聞ばん(月刊) '04年5月15日〜'05年12月1日 |
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音源に敬意と配慮を
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沖縄音楽は今やドル箱である。インディーズ系の注目株のバンドのライブ会場には、場にそぐわない、やたらと腰の低い、ヤマトからのおっさんが片隅でニヤニヤしているのが見受けられるという。
今回は別のテーマを考えていたが、7月中旬に店頭に並んだ、藤田正監修『島唄レアグルーヴィン』(MYCD-35011)を見るに及んで、やはり言うべきことは言わねばなるまいと思いゴーグチすることにする。こんな安易なCDをつくってもどうせウチナーンチュは何も言いやしまいと高を括っているだろうから。
サブタイトルに「マルタカ特選エキゾチカ」と銘打たれた『島唄レアグルーヴィン』はマルタカレーベル復刻の第3弾目のCD。前の二つはというと『ベスト・オブ・マルタカ』(MYCD-35008)と『青年時代の登川誠仁』(MYCD-35007)。さあこの3枚のCDを目の前に並べてみて、あまりにも安易であまりものセンスの無さにウチナーンチュをおちょくるのもいい加減にしてもらいたいと思うのは私だけでしょうか。
確かにマルタカの音源が復刻され、幅広い人達に聴かれることは非常に素晴しいことだと思う。沖縄庶民文化の情熱の証しであり、沖縄の宝である、埋もれている名曲、レア盤を蘇らせることは実に意義深いことだ。しかし、それは時代考証に敬意をはらってはじめて意味を持つことで、そしてそれは次の時代へつながらなくてはならない。中央からやって来て、音源を入手しました、どうぞ消費して下さい。これじゃいくら何でも悲しすぎますよ。
『ベスト・オブ・マルタカ』の解説に「戦後沖縄音楽の第一期黄金時代が、いかに素晴しかったに焦点を当てたアルバムである」とある。で、CDはというと、アキサミヨー、ジャケットも無い、安っぽい薄っぺらなケース。どうせ手に負えないのなら、せめてジャケットとケースくらい立派なものにしてほしかったものだ。沖縄音楽の諸先輩方に申し訳ないと、私の方が恐縮してしまう。
マルフクと並んで二大レーベルであった、マルタカの音源からベスト・オブ〜というアルバムをつくるからには沖縄音楽ファンをうならせる、それなりの選考基準が有り、それ以上に選考に漏れた名曲に対するフォローがあって然るべきと、当然考えるが解説にはそういうのは一切ない。そこにあるのは「ハイ、私が発掘しました、どうです」という態度。紙面が尽きた。もう少し、音源への敬意と配慮があってもいいのではないか、藤田さん。
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2004年8月1日 沖縄藝能新聞『ばん』第2号より |
ウェブ掲載版(初出)はこちら(*) |
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