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琉球新報「南風」(隔週連載) 2007年1月16日〜6月19日 |
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島唄カフェ
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誰誰の何々の曲が聴きたい、とか、嘉手苅林昌の下千鳥をすべて聴きたい、とか、徳原清文が新聞に書いてあったナークニーが聴きたい。とか、古い音源のリクエストは様々だ。ゴソゴソとレコードを探し出し、針を落とす。至福とまでは言わないが、愉快な瞬間だ。
私はレコードの音が好きだ。デジタルサウンドで育った二十代、三十代の若者たちには無縁なものかもしれないが、カドの取れた暖かみがレコードにはある。ひと口にレコードといってもSP盤(七八回転)とEP盤(四五回転)、それにLP盤(三三回転)とある。SPレコードは蓄音機を用いて再生するもので、今では骨董品屋でしか見かけられない(私の店にある)が、その音の懐かしさと艶かしさはゾクッとするものがある。ゾクッとしてみたい方はどうぞいらして下さい。
EPレコードがSP盤に取って代わったのは、一九六十年ごろである。沖縄に於いてもその頃から琉球民謡のレコードがどんどん量産されていった。夜の街ではジュークボックスから演歌やポップスとならんで民謡が流れた。七十年代、日本復帰から海洋博にかけて沖縄の中で沖縄音楽ブームが起こった。「ちんぬくじゅーしー」や「うんじゅが情どぅ頼まりる」などのヒット曲の時代となっていく。一万枚売れれば本土でのミリオンセラーに匹敵するといえた。レーベル(レコード会社)も二十を超え、一地域では考えられないほどのレコードがプレスされていった。シングルレコード(EP)は二千アイテムにも及び、LPや全集ものなどを加えたらどれほどの量になるのか見当がつかない。今にして思えば、よくもこれほどの情熱を残せたものだと感心させられる。いや、今でもその情熱は続いている。
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2007年6月19日 琉球新報夕刊「南風」掲載より |
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